結婚からよい家庭へ
アンケート「新家庭の抱負」

よい家庭とはどんな家庭か

アンケート「新家庭の抱負」

結婚したからには、お互いに少しでもよい家庭を築いてゆきたい、と願うのはだれしも同じことだと思います。しかし、ここで一言で「よい家庭」といっても、さて、どんな家庭がその「よい家庭」なのか、ということになると、これは必ずしも、だれでも同じことを答えてくれるとはかぎらないようです。

試みに、ある結婚に関するアンケートの結果をのぞいてみましょう。これは、一九五九年度に結婚した人々の中から、東京都の板橋区、墨田区、杉並区Y目黒区、新宿区にそれぞれお住まいの方々に「新家庭の抱負」という項目で、回答をお願いしたものです。残念ながら、この人々全部からの回答はいただけなかったのですが、集まったアンケートについて、そのベストテンを選んでみました。

第一位 愛情の持続、または愛情 四六通
第二位 明るい家庭を築く、または明朗 四〇通
第三位 信頼 四〇通
第四位 健康 三七通
第五位 相互の理解 二二通
第六位 円満、または仲よく暮らす 一八通
第七位 誠実、またはウソをつかぬこと 一七通
第八位 秘密主義を排す、またはお互いの間に隠しごとをしない 一六通
第九位 協力 一六通
第十位 子どもを育て、よりよき家庭を作る 一五通

ということになります。なお、この次には、

第十一位 お互いの尊重 一一通
第十二位 努力一 〇通

などがつづきます。また、印象に残ったものとしては、
・地味で堅実な生活を
・完全な夫婦生活
・忍耐
・子どものために犠牲になる悪習からの脱皮
・夫婦子ども平等
・信念をもつこと
・潤いと美
・計画的であること
・合理的な生活
・平凡な幸福
・勤め巻終えて帰宅し、疲れた体を休めるのに、よかったと思うふんいきを作りたい
・情熱
・自宅を建てる
・心ゆくまで楽しむ
・キリスト教の信仰に生きる
・五分五分の男女同権
・両親の尊重
・寛容
・夫は必要なとき以外、金銭を持たない
・夫は妻に寛大に、妻は夫を信頼する
・生活に創造的になる

などがあります。これらの項目は、一世帯で一つだけあげた例もあれば、三つか、それ以上も回答してきた例もあり、いろいろですが、現代の都会に住む若い人々の考え方をうかがえて、興味深いものがあるようです。


この結果から考えられること

ベスト・テンに入った愛情、明朗、信頼、健康、理解、円満、誠実、秘密主義を排す、協力、育児などの項目は、いずれも「よい家庭を作ろうとするにあたって、だれでも納得し、異論のないところだと思います。

たしかに、これらの項目が忠実に守られ、行なわれるようなら、その家庭は「よい家庭」であることにまちがいない、と思われるからです。しかし、興味深いのは、そのあとの項目。ここに印象に残ったものとしてあげた項目は、その一部なのですが、まことにバラエティーに富んだ内容をもっています。

一つ一つ見てゆくと、中には、必ずしもだれにも納得できるとはかぎらないと思われる項目も含まれているようです。

たとえば、「子どものために犠牲になる悪習からの脱皮」という項目。これには、全く賛成だ、と全面的に支持する人のある代り、いや、とんでもない、子どものために犠牲になるということなどない、親が子どものために尽くすのは、あたりまえのことではないか、という全く対立した考えを示される人もいるのではないかと思われるのです。

また、夫は必要なとき以外、金銭を持たないという項目について見ても、そのほうが、結局、家庭を円満に、よい家庭を築き上げてゆくためにはよいのだ、という考え方もあるでしょう。

また、妻だけが金銭を持っていて、夫にはそれを持たせないというのでは、第一、男女同権にも反するではないか、という考え方も出てくるでしょう。しかし、こういった、いろいろな考え方ができる、ということは別にしても、実際に、こうした項目を「新家庭の抱負」に掲げて、人生の荒波に出発した新世帯が、東京都にあったということは事実なのです。